No.a4fhc512

作成 1996.12

 

ワシントン最強の親イスラエル圧力団体
「AIPAC」

 

 

●イスラエルとアメリカは特殊関係で結ばれているとよく言われる。特殊関係というのは、単なる同盟関係ではないという意味である。アメリカのあらゆる援助なくしてイスラエルの国家存立そのものが危ういし、逆にイスラエルの意向を代弁する在米ユダヤ系市民は、アメリカの大統領選挙の行方を左右するほどの力さえ持ち続けてきた。イスラエルは、そして中東問題は、アメリカにとって国内問題であるといってよい。

 

 

 

●アメリカの全人口のうちユダヤ系は3%足らずの約600万人とされる。数字の上では大した勢力ではないが、彼らはニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスといった大都市の周辺に集中的に住み、選挙にあたっては特定の候補者に集中豪雨的に投票する。こうした地域は全米の政治動向を左右するので、そこからユダヤ票の威力が生まれてくるわけだ。

これはユダヤ票の「地すべり効果」とも呼ばれている。ユダヤ系市民の政治意識は高く、したがって彼らの投票率は他のエスニック集団に比べて格段に高い。その団結力も強い。それが「地すべり効果」を生むのである。


●在米ユダヤ勢力を政治的に指揮しているのは、「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」である。

ワシントンの国会議事堂から歩いて数分のところのビルに事務所をかまえている。AIPACは、ワシントンで最強のロビー団体であり、イスラエルに有利な動きを促進し、不利な動きをつぶすため、議会や政府に強力に働きかけることを任務としており、実質的にはイスラエルの「第2外務省」の役割を演じている。(会員は現在5万人を超える)。

 


「AIPAC」のシンボルマーク

 

●もしアメリカの政治家が親アラブ的発言をしようものなら、たちまちAIPACに反ユダヤ主義のレッテルを貼られ、ナチス呼ばわりをされ、政治的生命を葬り去られてしまう。1984年の選挙ではチャールズ・パーシー上院外交委員長がこの憂き目にあっており、政治家にとってははなはだ恐ろしいお目付け役である。

 
 


AIPACに賛美の言葉を重ねる
エドワード・ケネディらアメリカの政治家たち

 
 
 
●ところで、軍事面に集中してAIPACの別動隊的役割を果たしているのが、「ユダヤ国家安全保障問題研究所(JINSA)」であり、AIPACと比べるとその強力なタカ派色が目立つ。

「イスラエルこそ中東におけるアメリカの最も信頼できる同盟国にして戦略的資産」との立場から、アメリカとイスラエルの安全保障の一体性を訴えていて、反アラブ強硬路線を仕掛け続けている。

 


「JINSA」のシンボルマーク

 

●アメリカでは大統領が外交政策決定過程で非常に重要な役割を持っているが、援助金は他の予算と同じように大統領が提案して、議会が修正し決定する権利を持っている。アメリカの連邦議会が歴代の大統領よりも更にイスラエルびいきであることは、毎年大統領が申請するイスラエルへの援助金が、議会によって2割近くも増額されるのをみてもすぐわかることである。

それだけにとどまらず、イスラエルへの経済援助金は、全額を会計年度が始まったら30日以内に送るよう全力を尽くせという但し書きをつけて、議会は大統領に渡すのである。これも「特別な関係」の一面である。


●ちなみに、アメリカの外国援助金の約半分がイスラエルとエジプトの2国に支払われ、残りの半分が百何十ヶ国に分配されている。イスラエルへの支援金は膨大で、計算によるとアメリカの納税者は1日当たりイスラエルに1020万ドルも無償で与えていることになる。

 


人口1人当りアメリカからの援助の多い国 (1996年)

 

●かつて、イスラエル首相メナヘム・ベギンがホワイトハウスを訪ね、レーガン大統領に巨額の援助を求めた。

「ご趣旨はわかるが、議会がうるさいので」とレーガン大統領が口ごもったところ、ベギン首相は「議会のほうは私におまかせ下さい」といって胸をたたいたという。アメリカ議会に対するロビー工作で、いかに自信満々かを物語るエピソードだ。

アメリカ政府は対イスラエル関係で新しい決定を下す時は、駐米イスラエル大使に公式に伝える前に、AIPAC首脳に相談や打診をすることもよくあるという。


●トーマス・ダインAIPAC代表は、1986年4月、ワシントンでの第27回AIPAC年次政策会議の席上、次のように語った。

「AIPACは、ホワイトハウスや議会だけでなく、国務省、ペンタゴン、財務省、CIA、更に商務省、農務省にまで親イスラエル勢力を拡大させている。」

 


トーマス・ダインAIPAC代表

 

●また、アメリカにおいてユダヤ人たちがどれほど政治的、経済的さらにはマスコミにおいて力を持つようになったか、ユダヤ人がユダヤ人自身を自画自賛する本がアメリカのユダヤ出版社から出版された。

著者はユダヤ人ジャーナリストのJ・J・ゴールドバーグで、その本の題名は『ユダヤ・パワー 〈アメリカ系ユダヤ人エスタブリッシュメントの内幕〉』というものである。

(もしも、このような内容の本を、非ユダヤ人が執筆して出版したなら、アメリカのユダヤ人たち、特に「ADL」の強烈な反発を受けるであろう。そして、「反ユダヤ主義者」という烙印を押されてしまう。しかし、この本の著者はユダヤ人で、出版社もユダヤ系だから、彼らは黙って見過ごしている)。

 

 
ユダヤ人ジャーナリストの
J・J・ゴールドバーグが書いた『ユダヤ・パワー』

 

●この本の中で、J・J・ゴールドバーグは、アメリカにおけるユダヤ人たちがどのようにしてその名声を馳せ、かつ台頭してきたか、その歴史を物語ると同時に、アメリカ国内で複雑に組織化されているユダヤ・コミュニティーによってイスラエルはどれほどの恩恵を受けているのか、そのことをも客観的に分析している。

この本の導入部分には次のようなことが書かれている。

「我々アメリカのユダヤ人は、その歴史がアメリカに始まった350年間のうちに飛躍的成長を遂げた。特に、政治的なことにおいてそうであろう。もはや我々の敵はアメリカにおいて見い出すことはできない。おそらく2000年前のユダヤ・ディアスポラ、すなわち離散以来、はじめての現象といえるのではないか。」


●更に、このユダヤ人ジャーナリストは誇らしげに言う。

「世界から多くの元首や政治家たちがアメリカにやって来る。彼らの訪問はアメリカの政治家たちに会うためではなく、国連を訪問するためである。彼らがアメリカを訪れた時、必ず通らなければならないコースがある。それがユダヤ・コミュニティー事務所、そしてADL(ユダヤ名誉毀損防止連盟)ニューヨーク事務所である。

ワシントンD.C.では多くの大使館が軒を連ねているが、そのうちの13の主だった大使館の中には『ユダヤ・デスク』が設けられ、彼らは常にユダヤ・コミュニティーとの親密な関係を維持しようとしているのだ。」

 

 

 


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