No.a6fhc721

作成 2005.2

 

米CIA、ナチス・アイヒマンを知りながら隠し通す

 

~米機密文書で明らかに~

 


ナチス・ドイツの情報機関の最高幹部ラインハルト・ゲーレン少将

戦後アメリカのCIAと協力して「ゲーレン機関」を組織した
(メンバーの中には逃亡中のナチ戦犯も含まれていた)

 


 

■米議員、CIAに旧ナチス関係資料の公表を要求(2005年2月3日)


【ワシントン2日ロイター】

マイケル・デワイン米上院議員(共和党・オハイオ州)は2日、米中央情報局(CIA)のゴス長官に対し、冷戦時代に旧ソ連に対するスパイ活動を支援した旧ナチス・ドイツとの関係を示す数千ページの資料を公表するよう要求した。当局者が明らかにした。

デワイン議員は、ナチの戦争犯罪に関する政府資料の公表を義務付けた1998年の法案作成に関わった経験を持つ。

デワイン議員は、なぜCIAが資料の公表に同意していないかを公の場で説明するよう、ゴス長官に求めている。
ある上院関係者によると、デワイン議員は自らが属する上院司法委員会の公聴会に今月出席するよう長官を招請したが、CIAは即答していないという。

デワイン議員の報道官は、「デワイン上院議員は、CIAの説明を求めている。われわれの希望は、(ゴス長官を)委員会に招くことであり、それに向け努力している」と語った。(ロイター通信 2005年2月3日)

http://www.reuters.co.jp/newsArticle.jhtml;jsessionid=NHOWWDN5SQQV4CRBAELCFEY?type=worldNews&storyID=7521242

 



 


2005年2月4日に「国家安全保障公文書館」が
明らかにしたCIAの歴史資料の表紙

 


 

■CIA米中央情報局 これが「自由」の国? 暗部、次々明るみに
ナチス戦犯と緊密 大量虐殺共犯者も要員に 資料公開(2005年2月8日)


【ワシントン=浜谷浩司】

米中央情報局(CIA)が第二次世界大戦後、戦犯となったナチス・ドイツの情報将校と緊密な関係を築いていたことを示す資料が4日、明らかにされました。

米民間団体「国家安全保障公文書館」が明らかにしたのは、1999年にCIAが半世紀の協力関係を記念するとして、ドイツ情報機関に贈った歴史資料集。「情報パートナーシップの構築—CIAと独連邦情報局(BND)の起源、1945—49年」と題され、2002年に解禁されています。

戦争中に東部戦線で活動していたドイツ軍情報機関の最高幹部ラインハルト・ゲーレンとCIAは戦後、緊密な関係を築き、ゲーレンを中心とした組織(ゲーレン機関)は現在のドイツの諜報機関「BND」の前身となりました。

公開された資料集の序文は、CIAが「冷戦」を背景にして、「1949年以来、ゲーレン機関と緊密な関係を維持してきた」と明記。今日「われわれは先駆者たちに多くを負っている」とし、「ゲーレンと、その仲間たち」への感謝を表明しています。

CIAとゲーレンとの関係については、米政府が設置した「ナチ戦犯記録作業グループ」が2000年に明らかにし、CIAも当時しぶしぶながらこれを認めたとされています。

ところが問題は決着するどころか、CIAの姿勢をめぐって新たな議論が強まっています。

ニューヨーク・タイムズ紙(1月30日付)は、CIAがナチ戦犯に関する秘密文書の全面開示を法律で義務づけられているにもかかわらず、「数十万ページにわたる文書」の同「作業グループ」への引き渡しを「拒んでいる」と報じました。

また、これまで引き渡された文書からは、米国とナチ戦犯との関係が「従来考えられた以上に緊密だったことが示されている」といいます。

その一例として、ホロコーストの実行責任者として1960年にアルゼンチンで捕らえられ、裁判の結果、処刑されたアイヒマンの共犯者のうち、「少なくとも5人」がCIA要員となっていたことが挙げられています。

同「公文書館」の発表文によれば、ゲーレン機関の100人を超える要員が元「親衛隊保安部(SD)」や「ゲシュタポ」だったといいます。

「ナチ戦犯記録作業グループ」はナチスと日本の戦争犯罪に関する調査のために1999年に設置されました。「公文書館」の発表文によれば、「作業グループ」は今年3月末で期限切れを迎えることになっており、どこまで事実が明らかにされるかが懸念されています。(しんぶん赤旗 2005年2月8日)

http://www2.gwu.edu/~nsarchiv/NSAEBB/NSAEBB146/index.htm

 



 


アドルフ・アイヒマンSS中佐

戦後、アイヒマンは南米アルゼンチンで
逃亡生活を送っていた。しかし、イスラエルの秘密情報機関
「モサド」の秘密工作チームによって1960年5月11日に誘拐・逮捕され、
イスラエルへ空輸された。この「アイヒマン拉致事件」は、イスラエル政府が
アルゼンチン政府に対して正式な外交的手続きを踏んだものではなかった。
そのため、アルゼンチン政府は「主権侵害」と猛抗議、大使召還、
国連提訴など、解決まで2ヶ月間もめた。

 


 

── ここから下は追加情報です ──

 


 

■米CIA、ナチス・アイヒマンを知りながら隠し通す(2006年6月7日)


【ワシントン和田浩明】

米中央情報局(CIA)が、ナチス親衛隊幹部で、ユダヤ人の強制収容所移送の最高責任者だったアドルフ・アイヒマンの居所を1958年に知りながら沈黙を続けたことが今月6日、機密解除された同局の内部文書で分かった。AP通信などが報じた。

文書を分析した担当者らによると、西独情報機関からCIAにあてた1958年3月19日付の文書が、アイヒマンが「クレメンス」の偽名で1952年からアルゼンチンに潜伏していると指摘している。

しかし、CIAはアイヒマンを追跡していたイスラエル政府に通告する措置をとらなかった。

米国は冷戦初期当時、反共活動に元ナチス幹部も利用。

アデナウアー元西独首相の側近で、反ユダヤ人法「ニュルンベルク法」の起草者の一人だったハンス・グロプケ首相府次官もその一人だった。

CIAの沈黙は、アイヒマンの口から経歴が漏れるのを恐れたためとされる。アイヒマンは1960年、イスラエルに逮捕されたが、CIAは米報道機関に圧力をかけ、グロプケ氏への言及を止めさせたという。(毎日新聞 2006年6月7日)

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060608k0000m030014000c.html

 



 

■CIAが元ナチス幹部利用=冷戦初期のソ連情報収集で ─ 米機密文書(2006年6月7日)


【ワシントン6日時事】

「米国立公文書館」は今月6日、中央情報局(CIA)が第二次世界大戦後の冷戦時代初期、ナチス・ドイツの元幹部を当時のソ連に関する情報収集活動に利用していたことを裏付ける機密文書を公開した。

米政府がナチスによるユダヤ人大量虐殺の責任を追及する立場にありながら、水面下で共産主義との戦いに元ナチスの人材を使っていた実態を浮き彫りにしている。

米政府は1998年制定の文書公開法に基づき、旧敵国のナチス・ドイツや旧日本軍に関する機密文書の検証作業を進めており、この日はCIAが保有するナチス関係の機密文書約2万7000ページ分が新たに開示された。

今回公開された文書には、ソ連駐在経験の長いナチスのグスタフ・ヒルガー元外務省顧問らを通じてスターリン政権の情報を集めていたことなどが記録されている。

対ソ連「封じ込め政策」を提唱した米外交官ジョージ・ケナン氏がナチスのヒルガー元顧問を称賛したCIA幹部宛ての書簡も含まれている。(時事通信 2006年6月7日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060607-00000037-jij-int

 



 

■米CIA、1950年代にナチ高官情報を隠蔽 諜報活動を優先(2006年6月8日)


【ワシントン山本秀也】

東西冷戦下の1950年代、米中央情報局(CIA)が、旧ナチス高官の動静に関する情報を隠蔽(いんぺい)していたことが、6日公表された米国立公文書館の機密文書から明らかになった。ソ連など旧共産圏に対する情報活動を優先させたためで、イスラエルがホロコースト(ユダヤ人虐殺)の重要な責任者として行方を追っていたアドルフ・アイヒマン元親衛隊中佐らの情報も含まれていた。

調査にあたったニクソン図書館のティモシー・ナフタリ主任ら米国の歴史専門家によると、同様の隠蔽は連邦捜査局(FBI)、国防総省によっても行われていた

AP通信によると、アイヒマンに関しては、西ドイツ情報機関がCIAに送ったメモ(1958年3月19日付)に、「クレメンスとの偽名で1952年からアルゼンチンで生活している」と記されていた。

しかし、アイヒマンが拘束された場合、西独国内の反共工作で米側に協力していた元ナチス高官の情報を供述する恐れがあるとの判断から、米・西独双方ともイスラエル情報機関モサドへの通報といった対応を取らなかった

アイヒマンは1960年5月、モサド工作員によってアルゼンチンから拉致され、エルサレムで開かれた法廷で「ユダヤ人に対する犯罪」などの罪に問われ、1962年に処刑された。

文書の分析からは、米側の後押しで発足した西独情報機関「ゲーレン機関」(西独連邦情報局の前身)のナチス出身工作員が、ソ連の二重スパイだったことなどが判明したという。

調査にあたったナフタリ主任は、こうした旧ナチス関係者の情報工作での利用について、

「工作上の問題と、道徳的な堕落以外に何かをもたらしたとの確証は見いだせなかった」としている。(産経新聞 2006年6月8日)

http://www.sankei.co.jp/news/060608/kok016.htm

 



 


モサドのシンボルマーク

 



── 当館作成の関連ファイル ──

ナチスのトップ・スパイと「ゲーレン機関」の秘密 

ナチスの残党とCIAの危険な関係 

 


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