No.a2f1209

作成 1997.1

 

巨利をむさぼる世界最大のゼネコン

「ベクテル社」

 

 

●「ベクテル社」は年間売上4兆円を超す世界最大のゼネコンであり、「IBM」と「AT&T」を合わせたよりも巨大で、日本の16の建設会社を合わせた規模の巨人企業でありながら、株式非公開の“個人の会社”のため、日本での知名度はあまり高くない。

しかし知名度が低いのは「ベクテル社」の望むところのようである。

なぜならば、一般大衆の支持や注文など全く必要のない「政府がらみの巨大受注」こそ「ベクテル社」の柱であるからだ。全ての株はベクテル一族と幹部社員(約80人)が持ち合い、決して上場しない。もちろん資産も公開しない。あくまでも「個人企業」なのである。つまり、資金調達の必要ない株式非公開の「鎖国政商」といったところか。

 

 

●「ベクテル社」はあらゆる分野において、産業設備と開発を手掛けており、特に力を入れているのは、原子力発電関係と空港新増設の分野、宇宙開発の分野、軍事関係の分野である。

特に「NASA(アメリカ航空宇宙局)」と手を結ぶベクテル社は強い!

この分野は「SDI」が「ベクテル社」の重要業務であり、世界一の力量を持つと言われている。


●ベクテル社内の6つのグループ会社は、以下のようなものである。


1.「ウエスタン発電会社」(原子力・火力発電など)
2.「ベクテル会社」(石油パイプラインなど)
3.「ベクテル商社」(石油・石油化学など)
4.「ベクテル開発」(輸送・開発・水源・通信)
5.「ベクテル・ナショナル会社」(防衛・宇宙)
6.「ビーコン建設」(建設・その関係付属)


●「ベクテル社」は1950年代の「朝鮮動乱」で基礎を作り上げたが、大きく成長を遂げたのは60年代の「ベトナム戦争」であった。

一般の人は、戦争で巨利を得るものは、兵器産業や輸送機関、軍需物資製造業のみと考えがちであるが、より巨利を得るのは、軍事コンサルタントや商社である。



●ところで、「OAPEC(アラブ石油輸出国機構)」の石油戦略(石油ショック)が信じられないほどの巨利を湾岸産油国にもたらし、1974〜80年代に、湾岸産油国に流れ込んだ「オイル・ダラー」は世界マネーの50%に達し、様々な神話的成金を生み出した。その最も代表国はサウジアラビア、イラン、イラクであった。

「ベクテル社」が真に巨大化したのは、産油国のリーダーたるサウジアラビアに進出してからである。サウジとの関係は、創業者ステファン・ベクテルが、ファイサル国王の信頼を得たことからとされている。

更に、「ベクテル社」はイランにも進出しており、「ホメイニ革命」寸前にイランでの利益の大半を撤収し巧みに逃げ切った経緯を持つ。

 


中東全体の地図

 

●現在も、「ベクテル社」の全契約の20%近くがアラブ諸国相手であり、特にサウジアラビアでは、それまでサウジを利権支配していた「アラムコ石油」より強大な力を有するに至り、「ベクテル社」のダントツ独占状態が続いている。

しかも「ベクテル社」は、わずか10年間で10兆円を上回る利益を計上したと推定されているが、わずか10年でこれ程の利益を計上した一私企業は、世界史の中でも初めてではなかろうかと言われている。

それもそのはず、サウジの「ジューベル工業都市建設」は東京都全部に相当する土地の都市開発を丸ごと請け負ったというほどの物凄さである。契約は何兆円にも上ったらしいが、20世紀最大のプロジェクトと言ってよいだろう。

その他、サウジの世界最大の空港「リヤド空港」、同じくサウジの「ダーラン空港」、「アブハ山間都市」など、どれ一つ取っても1兆円を超す巨額なものであった。

 


サウジアラビアの国旗

 

●そもそも「ベクテル社」が巨額工事を手掛けるようになったのは、アメリカ政界と強力なコネが出来てからである。アイゼンハワー大統領時代に「原子力」という新興の高度システム分野に大きく進出した時、原子力技術は国家のトップ技術であったため、国家予算を得た事業を展開したのである。

「ベクテル社」の原子力発電所の工事実績は、アメリカ国内で1位。韓国・東南アジアでも1位で、アメリカ国内での「ベクテル社」の原子力発電設備のシェアは50%を超え、自由主義世界での原子力発電建設シェアは(韓国での80%を含め)60%であり、世界一の実績を誇っている。


●「ベクテル社」の幹部はユダヤ人嫌いで有名だが、共和党系のエスタブリッシュメントやCIA長官を自社に迎え入れ、グループ各社の副社長にするという優遇措置を取りながら、アメリカ政界とのコネを強くしていった。

特に、あの「SDI計画」を発表したレーガン政権時代にそのコネは一段と強力なものへと成長した。なにしろ、当時の国務長官シュルツは「ベクテル社」の社長であり、国防長官ワインバーガーは「ベクテル社」の副社長という顔触れだ。

 


ホワイト・ハウス

 

●ちなみに現在の「ベクテル社」のヘルム氏は元イラン大使で、ハート氏は元サウジ大使という有り様で、「ベクテル社」に入った陸海軍の主だった。退役将官に至っては、数え切れないという豪華さである。

更に、日本たたきに奔走した「USTR(アメリカ通商代表部)」のヒルズ女史は、任期を終えると同時に「ベクテル社」の重役の椅子を与えられたし、湾岸戦争の時に多国籍軍を指揮した巨漢シュワルツコフ将軍も、その功績が認められて「ベクテル社」に声をかけられていた。(最終的にシュワルツコフが重役の椅子に座ったかどうかは不明である)。


●「ベクテル社」は1898年の創業以来、全7大陸の140ヶ国で15,000以上のプロジェクトを担当しており、営業所はアメリカ国内に40ヶ所の他に、世界35ヶ所に及んでいる。

そして、ワシントン地下鉄、サンフランシスコ地域の地下鉄、ロス新空港、ラスベガス新空港、その他10ヶ所以上の空港を建設し、鉱山開発、金属プラントとしては、パプアニューギニアの世界最大の銅山を請け負い、石油開発用の海上プラットホームは世界70ヶ所以上を担当している。


★以下に、「ベクテル社」の公式サイトから拾ってきたデータをそのまま転載しておきます↓


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 <A Sampling of Bechtel Experience>
 ★In 140 countries, more than:

  ☆ 500 fossil-fired and nuclear power plant units

  ☆ 350 chemical and petrochemical projects

  ☆ 20 metropolitan rapid transit systems

  ☆ 150 nuclear generating units

  ☆ 75 airports and airport systems

  ☆ 45 hydroelectric power plants

  ☆ 200 water and wastewater treatment works

  ☆ 80 ports and harbors

  ☆ 15 waste-to-energy projects

  ☆ 60 tunnel and bridge projects

  ☆ 300 refinery projects

  ☆ 27,000 kilometers of highways and roads

  ☆ 100 gas processing plants

  ☆ 20 new towns

  ☆ 300 minerals projects

  ☆ 150 hotels and resorts

  ☆ 45 major oil and gas field development projects

  ☆ 45 hospitals, medical facilities and laboratories

  ☆ 2,000 commercial and light industrial buildings

  ☆ 150 major environmental assignments

  ☆ 80,000 kilometers of pipeline systems

  ☆ 200 industrial manufacturing jobs

  ☆ 15 telecommunications systems

  ☆ $10 billion of financing arranged since 1990

  ☆ 40 percent of the world's natural gas liquefaction capacity.

 ★In all, some 25,000 projects, including such landmarks as:

  ○ Hoover Dam

  ○ San Francisco-Oakland Bay Bridge

  ○ Trans-Arabian Pipeline

  ○ The first commercial nuclear power plant

  ○ Jubail Industrial City

  ○ New Zealand's pioneering gas-to-gasoline plant

  ○ Postwar restoration of Kuwait's oil production

  ○ The Channel Tunnel

  ○ Space launch complexes in Florida and California

  ○ The San Francisco Bay Area Rapid Transit system

  ○ Hong Kong's Chek Lap Kok Airport and associated infrastructure

  ○ The cleanup of contamination at the Hanford Site in Washington State

  ○ La Candelaria copper project in Chile

  ○ The Boston Central/Artery Tunnel project

  ○ Turkey's Gerede-Ankara Motorway

 

 

 


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