ヘブライの館2|総合案内所|休憩室 |
No.a3fha501
作成 1997.2
●「旧約」「新約」の“約”を「翻訳」の“訳”と間違える人が時たまいるが、この“約”は「契約」の“約”を意味している。また、『聖書』が1冊の本であると錯覚してしまう人もいるが、実際は、『聖書』は「旧約」と「新約」という独立した2つの部で構成され、さらに『旧約聖書』は39もの異なった書物の複合体であり、その一つ一つが独立した本として存在している。一方、『新約聖書』は27の異なった本(ほとんどが手紙という形式)で構成されている。
●ユダヤ教は『旧約聖書』だけを「聖なる書」とし、キリスト教は「旧約」「新約」を全体として『聖書(The Bible)』としている。ただし、ユダヤ教にはもちろん「旧約」などという呼び方はない。それはあくまでも「新約=神との新しい契約」という概念を持ったキリスト教側の分類に過ぎないためである。
そのため、ユダヤ教では旧約をただ「聖なる書物」というふうに呼ぶか、でなければ、いちいち「律法・預言者・諸書」と言い、あるいはこの3つのヘブライ語の頭文字を取って「タナハ(TNK)」と呼ぶ。
また、ユダヤ教は『旧約聖書』の中でもとりわけ「律法(トーラー)」として存在する5つの書(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)を重要視する。これらは長い間、全てモーセが著したということになっていたため、別名「モーセの五書」と呼ばれており、まさに“聖書の中の聖書”として崇められているのである。
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●ユダヤ教とキリスト教との一番の争点は、何といっても「イエス」の存在に対する解釈の違いにあるといえよう。『旧約聖書』には「メシア(救世主)」についての預言が340ヵ所あると言われているが、キリスト教徒は、その全てがイエス・キリストに当てはまると主張している。しかし、ユダヤ教徒はイエスを「預言者の1人」として認めはするが、断じて「メシア」とは認めないのである。
ユダヤの友人によれば、現在のユダヤ教は、『タルムード』という新たな正典を加えて編成し直された「新ユダヤ教」というべきもので、彼らの厳しい戒律生活(タルムード的生活)の中に、イエス・キリストの教えで構成される『新約聖書』の入り込める余地がないため、イエスがメシアであるということをどうしても認められないとのことである。
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