No.a2f1501

作成 1998.3

 

アメリカ経済の主流はWASPが独占している

 

 

●ユダヤ人のアメリカ移住は5波にわたっており、それぞれ出身地と性格を異にしている。

最初にやってきたのは、カトリック教国のスペインとポルトガルから追放されたユダヤ人(スファラディム)だった。ユダヤ移民の第2波は、1820年から1870年頃まで、主にドイツからやってきた25万人のユダヤ人である。特に1848年の革命の敗北によってアメリカに避難したものが多かったので、彼らは「フォーティエイター」と呼ばれている。彼らの多くはアメリカで巨億の富を築き上げた。

1880年代初頭から1924年頃まで、ロシア国内のポグロム(ユダヤ人迫害)が原因で、280万人の東欧ユダヤ人(アシュケナジーム)がアメリカになだれ込んだ。これがユダヤ移民の第3波である。(第4波と第5波については当館4Fのファイル「ユダヤ人のアメリカ移住史」をご覧下さい)。


●東欧ユダヤ移民(第3波)の大部分は、ロシア・東欧社会の最下層から出てきた人々で、アメリカに渡ってもその事情は変わらなかった。手に職のある者は、アメリカでも職人として働くことになる。床屋職人、パン焼き職人、タクシー運転手などに、こういうユダヤ人が多い。

もちろんビジネスを大成功させた者もたくさんいる。ニューヨークに集中しているドイツ系ユダヤ人経営の既製服工場に縫製工として雇われ、多くの労働者が結核で倒れる劣悪な職場でがんばり抜き、やがて経営のトップに昇りつめた者。ウォッカの本場、ロシアやポーランドで習い覚えた技術を駆使して、蒸留酒製造業者として成功した者。現在でもこの業界の半数はユダヤ系だと言われている。


●ちっぽけな露店商人からチェーンストアの経営者に出世した者も多い。もっとも、最大のスーパーチェーン「デイヴィッド・メイ・カンパニー」や、ラザラス家の「フェデレイテッド・デパートメント・ストアズ」などの大物は、在来のドイツ系あるいはスペイン系ユダヤ人が所有、経営している。

その他、芸能関係やマスコミ関係、出版関係の世界に進出して、成功を収めた者も多い。医者や弁護士、学校の先生、学者など、学問の世界や知的専門職に進出して成功を収めた者も多い。これらの世界は圧倒的にユダヤ人が強いといえる。



●しかし、ユダヤ人が進出していない、もしくは進出できなかった分野というものも存在している。現在、「チェース・マンハッタン銀行」や「ファースト・ナショナル・シティ銀行」のような大銀行、重化学工業、自動車工業、大石油会社、鉱業、運送業、大きな保険会社、つまり大企業の決定的な地位には、ユダヤ人の姿はほとんど皆無だといわれている。

なぜなら、アングロサクソン系のアメリカ人(WASP)が、国の生い立ちから銀行、重化学工業などの国の基礎産業に君臨してきたためである。


●アメリカ経済界でのユダヤ人の地位は、たとえば自動車産業によく表われている。

自動車生産業のトップにユダヤ人がほとんど見られないかわりに、ユダヤ人たちは販売会社やレンタカー業に集中している。チェコスロバキア出身のユダヤ人ジョン・D・ハーツが1915年に創立したタクシー会社「イエロー・キャブ」の車は、いまや全米いたるところで走っているし、「ハーツ・レンタカー」と言えば世界中で通用する。上院議員になったユダヤ人ハワード・メッツェンバウムも、レンタカー会社「エイヴィス」の持ち主である。

 


ジョン・D・ハーツ

チェコスロバキア出身のユダヤ人。
1915年にタクシー会社「イエロー・キャブ」を設立、
1923年にアメリカ初のレンタカー会社
「ハーツ・レンタカー」を設立。

 

●このような産業構造上のユダヤ人の位置は、金融業においてもはっきりとわかる。

ユダヤ人の金融業者は、もっぱら投資銀行や、“ブローカーエイジ”、つまり株式仲介業に集中している。これは1934年に預金銀行から分離させられた業種である。しかも、これらの会社でもたいていの場合、非ユダヤ人の共同経営者がいなければやっていけないという。


●このように、ユダヤ系の人々は、主に商業や技術、芸術、報道関係に進出し、ユダヤ系企業は各産業の支流を形成しており、主流はあくまでもWASPに占められているといえる。(もっとも最近は、ユダヤ系アメリカ人は優秀な頭脳と勤勉さから、あらゆる部門に関連し、アメリカ政治を左右するほど大きな力を示すに至っている)。

 


WASP勢力の中心に君臨しているロックフェラー一族

 

●なお、「WASP財閥」の代表と言われているのがアメリカ最大の財閥と言われるロックフェラー財閥である。

ロックフェラー財閥の創始者であるジョン・D・ロックフェラーは、アメリカの石油の独占を通じてこの大財閥を一代で築き上げた。彼の設立したスタンダード石油はアメリカの石油の90%を支配したと言われ、戦前のアメリカ石油産業を完全に独占していた。しかし、ロックフェラーの独占はそれだけに止まらなかった。彼らはこの石油で築き上げた富を元手に金融界にも進出し、シティバンクやチェース・マンハッタン銀行といった巨大銀行をその支配下に収め、巨大金融財閥を築き上げていったのである。さらにロックフェラーはこれらの金融機関を使って他の産業を次々と手中に収め、アメリカ経済の支配者への道をばく進していった。

 


石油王ジョン・D・ロックフェラー
(1839〜1937年)

 

●現在ロックフェラーの支配する企業には、エクソン、モービル、シェブロンなどの「石油カルテル」を始め、シティバンク、チェース・マンハッタン銀行などの「金融カルテル」、ニューヨーク・ライフ、エクイタブル・ライフ、メトロポリタン・ライフなどの「保険カルテル」、インターナショナル・ハーベスター、クエーカー・オーツ、ジェネラル・フーズ、モンサントなどの「食糧カルテル」、さらにユナイテッド、ノースウェスト、デルタなどの「航空カルテル」、さらにはテキサス・インスツルメント、ボーイング、イーストマン・コダック、アライド・ケミカル、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリングなどのアメリカを代表する巨大企業がずらりと名を連ねる。まさにロックフェラーこそアメリカ経済の陰の支配者なのである。

こうしたことから世界一の金持ちにランクされても不思議ではないロックフェラーだが、アメリカの真の支配者の富はビル・ゲイツのような成り上がり者と違って『フォーチュン』などの長者番付に載ることは決してない。これらの企業から入るロックフェラーの莫大な収入は彼らの所有する数百に上る「無課税財団」に蓄えられ、課税もされずに闇から闇へと消えていくのである。

(※ よく世界一の金持ちはマイクロ・ソフトのビル・ゲイツだと言われたりするが、彼の資産は584億ドルであるのに対し、ロックフェラー家の資産総額は8375億ドルである。この数字を見れば、財閥のケタ外れの資本力が分かるだろう)。


●このようにWASP勢力の中心に君臨しているロックフェラーだが、彼らはカーネギーをはじめとする他のWASP財閥と政略結婚によって深く結び付いている。現在のアメリカの大富豪の半分以上はロックフェラーと血縁関係を持っていると言われるほどで、アメリカ貴族社会とでも言うべき上流社会が形成されている。この東部エスタブリッシュメントと呼ばれるロックフェラー、カーネギー、メロン、ハリマン、フォードといったWASPの巨大財閥こそアメリカの真の支配者たちなのである。


●なお、ロックフェラーをユダヤ人とみなす説があるが、当館では、ロックフェラーはWASPとして扱っていく。(「ロックフェラー=ユダヤ人」説の実態については、別の機会に詳しく触れたいと思う)。

 

 

 


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