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No.a3fhb411
作成 1998.1
かの有名な宗教家・出口王仁三郎によると、
ユダヤ人の3分の1は良いが、3分の2は悪いという。
また、ユダヤの12の支族のうち11支族は外国にあり、
日本には一番よい流れが入ってきたものの、その後、
変質したので本当のものは少ないという。
※ ある関係者から提供された資料です。
興味深いことが書かれているので、ここに
載せておきます。参考までにどうぞ。
1989年12月
大宮司朗氏
(神道霊学・霊術界の巨匠)
×
武田崇元氏
聞き手:山真正氏
神事を行う大宮司朗氏
■■友清歓真、酒井勝軍とユダヤ問題
──日本人とユダヤ人は同じ祖先であるという、いわゆる日本=ユダヤ同祖論とかモーセやキリストの日本渡来説、さらにフリーメイソンによる世界制覇の陰謀論など、このところユダヤ関係の話題が陰に陽に取り沙汰されておりますが、その実態は一体どうなのか、大宮司朗先生と武田崇元氏に霊学的な見地や歴史的な経緯を踏まえて、こもごも語って頂きたいと思います。
■大宮: ユダヤと日本は霊学的には不即不離といいますか、微妙な関係があります。たとえば友清歓真(ともきよ よしさね)の霊学体系は一般的には反ユダヤ的と見られているようですが、実は友清歓真ですら『闢神霧』で、『旧約聖書』の一節、預言者イザヤの「シオンよ醒めよ、醒めて汝の力をきよ」という言葉を引用して、このシオンとは天日の照らす神の国であり、これはすなわち日本であると明言しているのです。
■武田: シオニズムとは通常、亡国の民であるユダヤ民族がパレスチナの地に国家を復興するという目的をもとにした運動形態ですが、友清歓真は実際はそうではないと断言しているんですね。
友清歓真
(ともきよ よしさね)
1888年山口県生まれ。
11歳の頃に「神隠し」に遭う。
その後、独自の秘教的霊学を確立し、
宗教結社「神道天行居」を創設。
■大宮: そうです。友清歓真によれば、シオニズムとは本来は万古不磨の神国たる皇御国(スメラミクニ)を造る目的があるというのです。そのことは日本人はもちろん、ユダヤ人も知らぬまま勝手に世界政略運動に奔走しているが、それはとんでもない間違いで、本当の目的は日の本を皇御国として建てることにあるというわけです。
では何故ユダヤ人が皇御国を建てなければならないのかということについては時期尚早とみたのか、『闢神霧』では触れていませんが、その後の『神道古義』ではっきりと説明しております。『旧約聖書』にエホバの神がモーセにシナイ山で語りかけるシーンがありますが、エホバはスサノオの化身であるというわけです。シナイ山上でラッパの音が聞こえるでしょう。あれはスサノオの子である五十猛尊(イタケルノミコト)の眷属が鳴らした法螺貝だと解釈するわけです。
■武田: そうですね。「宮地神仙道」の創始者である宮地水位も『異境備忘録』で、五十猛尊は法螺貝を吹き鳴らす神であるといっていますね。それと密接な関係があるようですね。
■大宮: 友清歓真はまた次のようにも述べています。五十猛尊の化身はキリストであり、それが数十年後に日本に降臨してきて日本武尊(ヤマトタケルノミコト)になるというのです。日本武尊もキリストも厩(馬小屋)で生まれましたが、どちらもそのルーツはスサノオの御子の大化身なのです。その理由はどちらも自分の身を犠牲にして世の人を救おうとしたんだと。それで五十猛尊というのは別名を大禍津日神(オオマガツビノカミ)といいます。何故なら人々の罪けがれのすべてを背負った神だからであるというのです。
それがキリストであり、日本武尊であると友清歓真は『神道古義』で強調するんです。だから日本とユダヤというのは霊的な世界の中で密接な関係があり、いやおうなしにユダヤは日本に最終的には協力せざるを得ないという驚愕すべき結論に達するわけです。
■武田: なるほど。酒井勝軍(さかい かつとき)が『神秘之日本』で述べていることと結局は同じなんですね。
■大宮: 確か酒井勝軍はシオンは日本なんだといっていますね。
■武田: そうです。酒井勝軍によれば、竹内文献を援用し、実際にフィールドワークを重ねつつ、ユダヤと日本は歴史的にもともと関係があり、ユダヤ王国は前半は祭政一致で建国に成功したものの、後半は滅亡し、日本は前半は狭霧に包まれているが、後半は鮮明であるとし、神の子イエス、神の民ユダヤ、神国日本が一点に合一した時に、シオンは初めて世に知られ、このシオン帝国こそ空前絶後、唯一の理想国として世界に冠絶すると述べています。
そのためにはユダヤ人がパレスチナに独立した国家を造るべきであり、同時に日本がそれを支援すべき義務があると主張するのです。日本はシオンたらざるをえないわけです。酒井は当時の思想家としては非常に珍しいケースではないかと思うんです。
酒井勝軍(さかい かつとき)
1874年山形県生まれ。日本ピラミッド論の開祖。
1936年に「神秘之日本社」を設立し、
機関紙『神秘之日本』を発行。
日ユ同祖論を高唱した。
■大宮: 日本人は、神の末裔なわけで、ユダヤ人はその神が選んだ人々で、つまり選民なわけです。ユダヤ人は選民として神の末裔たる日本人を助けなければならないわけです。彼らはそれを使命として自覚すれば一致団結して新しい世界をつくれるんだと咆哮するんですね。
──その割に友清歓真は酒井勝軍のことをけなしているような印象を受けるんですが。
■大宮: 確かに表向きはけなしているようだけれども、友清歓真は酒井勝軍の『神秘之日本』を当然読んでいるし、酒井勝軍も友清歓真の著作を読んでいることは間違いないでしょう。
■武田: 『神秘之日本』を読めば当然わかるんですが、友清歓真が主宰する神道天行居のメンバーである犬塚国雄も執筆しています。
■大宮: だから相互に何らかの形で影響しあっているんです。ただ、神道天行居はユダヤ勢力に対していわゆる赤魔とか赤コゴメという形で対決の形をとります。赤魔というのは必ずしも共産主義という意味ではなく、ユダヤ勢力的なものも指しているんです。
■武田: それは現実のユダヤ人ではなくて、霊的な意味で赤魔という言葉を使っているんですね。
■大宮: そうです。
■武田: 酒井勝軍の場合は歴史的に日本とユダヤとが関係があったというわけなんですが、友清歓真はそれを霊的レベルで論じているわけです。表現の仕方が違うので、見定めにくいのですが、結局は一致しているんです。
■大宮: それを理解するためには、友清歓真にせよ、酒井勝軍にせよ、両方を読みこむ必要があるでしょうね。
■■エルサレムは至聖所で地の高天原
──ところで、神道霊学の巨匠、出口王仁三郎(でぐち おにさぶろう)もまた『霊界物語』や『神霊界』でユダヤ問題について言及しておりますね。
■武田: 『霊界物語』によれば、エルサレムは至聖地で、その宮は最高天国の中心にある大神の鎮座する霊場であるとされることからもわかるように、とにかく最高の霊地なんですね。そのエルサレムは地の高天原で綾部(京都府)に当たり、綾部を流れる川(由良川)もヨルダン川に相当するとしているんです。
──それはきわめて象徴的な話ですね。
■武田: それだけではないんです。シオン団はユダヤ人の団体のことですが、シオンの道とはずばり聖地に至る道で、神の道を指しているんです。
出口王仁三郎
(でぐち おにさぶろう)
1871年京都府生まれ。「大本教」の教祖。
人種・民族・宗教等あらゆる有形無形の障壁を越えて、
人類の大和合を唱導するため「人類愛善会」を創立。
大本教は「国家神道」の体制下で、二度にわたる
大弾圧を被る。1948年に78歳で死去。
■大宮: 王仁三郎が如何にユダヤを意識していたかがわかりますね。初めから聖地を綾部だとすればいいのに、エルサレムと規定したところに、王仁三郎がユダヤと日本の関わりを重視していたかがわかります。
■武田: 『霊界物語』は120通りの解釈があるとされるように、ユダヤ問題に関してもいろいろ解釈できると思うんです。
──王仁三郎は日ユ同祖論についてどういう見解をもっていたんですか。
■武田: 王仁三郎がユダヤ問題についてまとまった形で述べたものはないんですが、如是我聞のような形で彼がいろいろ言っていたことは事実で、たとえば、ユダヤ民族の12の支族のうち11支族は外国にあり、日本には一番よい流れが入ってきたものの、その後、変質したので本当のものは少ないということを強調したりしています。
また、王仁三郎は、ユダヤ人は神命奉仕者で、神様から選ばれたのだから神の選民であることは間違いないが、天孫民族とは全く違うと述べています。日本は天孫民族だから選民と違って神の直系であるというわけです。
■大宮: なるほど。因みに、友清歓真の説としては、小谷部全一郎や酒井勝軍の説は天皇家の祖先はユダヤの末裔だというわけなんだけれども、そんなものじゃないんだというのが、友清歓真の主張なんです。
その辺で僕が昔恐ろしいと思ったのは、友清歓真の弟子の一人の太古神法継承者が私の顔を見るなり、「この間は大変な目に遭いました」というのです。「ラビ(ユダヤの聖職者)が私の前に2人現れ、私に対して呪術をかけてきたので、私は神法道術でやっと切り返しました」と真面目な顔をしていうのです。つまり太古神法を紹統した友清歓真の教えのある部分においてはユダヤというものは敵対者であると見ているわけです。
少なくともそういう考え方はそれが神示であるかどうかは別として、霊学的な意味において重要ですよ。
■■世界を揺るがすフリーメイソンの正体
──フリーメイソンについてはどうなんでしょうか。
■武田: 出口王仁三郎は、ユダヤ人の3分の1はよいが、3分の2は悪い。その悪い連中がフリーメイソンを組織している。第二次世界大戦はフリーメイソンの仕業だというようなこともいっています。
──フリーメイソンとユダヤはよく混同されたりしますが、フリーメイソンは果たして悪かという問題があります。
■武田: 酒井勝軍はシオニズムは擁護しながら、フリーメイソンはどちらかといえば悪というニュアンスで論を進めています。
──酒井がそういうふうに考えた理由というのは。
■武田: やはりユダヤ民族に対する霊的な評価があったんじゃないですか。霊的地勢学からパレスチナを押さえる者がハルマゲドンの時に最終的に勝利すると。実際に戦後アメリカがイスラエルを押さえたことで、アメリカの時代が来たということに関しては、酒井勝軍の予言は当たっています。当時の軍事的戦略論としてはナンセンスというか、そんなところまでいけるわけはないんだけれども、ひとつの霊的直観力において酒井勝軍は極めて鋭い端倪すべからざる人物なわけです。
ただ、彼もフリーメイソンというのは破壊団体というように、ユダヤ問題に関しては二面性を考えていて、たとえば陰謀の問題にしても、破壊と建設というか、常にそうした二面性で見ていたことは事実です。
■大宮: 酒井勝軍の『神秘之日本』はその好例ですね。友清歓真も『友清歓真全集』でフリーメイソンは自由、平等、博愛をスローガンにしてやっているが、本質的には破壊的な傾向をもった悪い思想であると指摘しているんです。それが現代の日本を取り巻いていると批判するわけです。
ところが、友清歓真はその一方で、フリーメイソンの運動と相反するように活動している団体もあるが、それ自体もフリーメイソンの裏の働きなんだといっているわけですよ。
──それは資本主義運動と共産主義運動の両方の基盤は結局、ユダヤ民族を母胎としているということに収斂されてくるといった見解と関係があるからではないでしょうか。
■大宮: だから友清歓真も考えるわけです、そう油断はできないんだよと。
■武田: ここで注意しなければならないことは、悪いとされるフリーメイソンなんですが、王仁三郎は一方で、昭和17年に「大本第二次事件の予審調書がフリーメイソン本部に入ったからもう大本は大丈夫や」といったりしているんです。結局大本はその通り無罪となるわけなんですが、ここではフリーメイソンは悪ではなく、善的な意味で捉えられています。
また王仁三郎は「ユダヤは神の選民であるが、艮の金神(国祖)が彼らを道具として使っておられる。ユダヤは悪にみせかけて善をやるのや。神は偽悪だ。悪に見せて大善をなす」とまで述べています。これは、一見矛盾のような発言にみえますが、フリーメイソンに関する善悪の判断は単純に割り切ることができない、まことに微妙な問題であるということを王仁三郎は言いたいのだと思います。
それと同じことを友清歓真は霊的な見地からフリーメイソンは油断ができないという彼独特の表現方法で述べたのではないでしょうか。
■大宮: それで思い出しましたが、王仁三郎は折りに触れて側近らに「マッソン(メイソン)は悪いんじゃないんだぜ」とか「ユダヤ問題がわからないとだめだぞ。とにかく『霊界物語』を読め」と言っていたらしいですね。
■武田: そうです。つまり『霊界物語』にはユダヤ問題の秘密がことごとく記されているんです。そしてユダヤ問題がわからなければ、霊界の仕組みも最終的にはわからないことになります。
出口王仁三郎が口述筆記した『霊界物語』
(大本教の根本教典の一つで全81巻83冊ある)
■■ユダヤ問題と世界経綸の真相
──ところで、ユダヤの世界政略など脅威論などがいわれるんですが、これについて霊学的立場からお聞かせ下さい。
■大宮: 『霊界物語』第1巻18章にユダヤの地に邪気が凝り固まって発生した。そしてすべての神界並びに現界の組織を打ち壊して、自分が盟主となって全世界を妖魅界にしようと目論んでいる云々とありますが、ちなみに物語では、このユダヤの邪気というのも、ある場合においては「八岐の大蛇」(ヤマタノオロチ)の象徴なんだと思います。日本武尊も伊吹山で八岐の大蛇の分霊にやられて死ぬわけですよ。前にも触れましたが、日本武尊はスサノオの御子であって五十猛尊の大化身なんです。従って一種の因縁が過去からずっと働いているわけなんです。
またスサノオの分霊であるキリストがやられることになった相手のユダは八岐の大蛇の化身に当たるんです。だから、ユダはキリストを滅ぼさざるをえない。
──つまり歴史を通じて円環運動みたいな構造になっているんですね。
■大宮: ある意味でこの世界は時代を超えてスサノオと八岐の大蛇がそれぞれの分霊や眷属を含めて戦い続けている舞台なんです。だから王仁三郎がスサノオを真似るというのも、深い理由があるからなんです。
それで興味深いのは、昔なにかで読んだのですが、スサノオが八岐の大蛇を切り殺したら、そこから逆にスサノオが出てくるのがありました。
──普通出てくるのは草薙の剣ですが。
■大宮: 民俗学でも八岐の大蛇からスサノオが出てくるというのがあるんです。つまりスサノオと八岐の大蛇との一体化なんです。
──でも切る方もスサノオで、出てくる方もスサノオというと、これは霊体のようなものが出てきて本体と合体するのですか。
■大宮: そういうことなんです。結局ユダヤがそうだと思うんです。なぜならユダヤの守護神である神は友清歓真の説によるとスサノオでしょう。従ってユダヤ自体はちょうど八岐の大蛇と同じような働きをしているのですよ。八岐の大蛇は妖気を含んで日本を滅亡しようとしているわけでしょう。ユダヤというものは、相矛盾するものを含みながら同時進行する運動体に凝らせられるのではないかと思うんです。
ある場面では八岐の大蛇はスサノオの霊気を受けながら日本にすり寄り、ある場面では日本を滅ぼそうとしているわけです。それが幾重にも入り混じって混在しているから、なかなか見えにくいのです。
──なるほど。
■大宮: それがどう働くかというのは、一般にはなかなか見えてきません。ところが、真に霊眼あるもののみが、善悪を超越して実は日本自身を助けるための神の大きな働きであることが、つまり経綸や仕組の一環であることがよくわかるわけですよ。
そういった部分のところを王仁三郎は、『霊界物語』の中で強調していると思います。結局、善の中に悪があり、悪の中に善があるわけですが、最終的にはどれもこれも神の仕組であって、八岐の大蛇も悪の役をさせられているだけなんですよ。
■■ユダヤ問題の秘密は『霊界物語』に網羅
■武田: つまるところ壮大な神聖劇ですな。まさに『霊界物語』に暗示される世界ですね。あれは神劇であって、登場人物がいくら悪人の役をやっていても、決して悪人じゃないんです。その役割を演じきっているだけだという捉え方があるように思います。
■大宮: いずれにせよ、日本とユダヤには何らかの仕組があって、これはある意味で陰と陽なんです。それはまた善と悪でもあります。陰は必ずしも悪ではないし、陽もまた善ではない。それは立場に応じて変わるわけです。
ユダヤと日本は光と影、もしくは陰と陽であって、その動きが世界を動かすという玄妙な神律があると思うんです。相対立しながら相似のものがあり、それでいて、相似のものがあると見えながらまるっきり相反する立場であるという。陰と陽がまるっきり違うものでありながらお互いに引き合うのと同じように、日本とユダヤというのはまるっきり相反するものでありながら逆に引き合う部分があるんじゃないかと思うんです。
■武田: 陰謀論でも誤解している人がいるんですが、フリーメイソンとかユダヤの中枢部があって、KGBとかCIAみたいに指令を送って陰謀をたくらんでいるというからおかしくなるわけで、本来の陰謀というのは霊的なものです。陰謀というものがあって歴史を動かしているとしたらそれは霊的なものに違いない。言葉を換えていえば、それは「経綸説」ということになります。
■大宮: そうですね。とにかく、何度も言うようですが、出口王仁三郎の宇宙の経綸説は『霊界物語』にすべて刻印されています。ですからユダヤ研究の場合においてもユダヤがどうして動くのかは『霊界物語』を読めばわかるはずなんです。
■武田: 出口王仁三郎は「一厘の秘密」ということを言っておりまして、世界改造のために潮盈珠(大本開祖)と潮乾珠(王仁三郎)があります。両方なければ動きがとれないわけですよ。両方が見事に連動することによって、そこには新しいものが芽生えるということです。ユダヤと日本との関係も結局、このあたりに絞り込まれるんじゃないですか。
■■ユダヤの謎を解く手引書の数々
──経綸論を含むユダヤ問題に関する総合的な研究書としては『霊界物語』や『神秘之日本』や『友清歓真全集』に説かれているわけですが、そのほかにもユダヤ問題の謎を解く手掛かりとなるような関係書籍もいろいろ出ていますね。
■武田: 日本の古代文献のなかにはユダヤ問題が濃厚な影を落としています。竹内文献にはモーセやキリストなどが日本に来ているとはっきり書かれていますが、その影響を多くの霊的具眼の士は受けているわけでしょう。逆にいえば、真偽は別としてその当時、日本とユダヤがいかに近いものであったかを具体的に物語る資料ともなるわけです。
──酒井勝軍や山根菊子などは竹内文献に触発された人達ですね。たとえばモーセの裏十戒の問題やキリストの墓が日本にあったなどの説がでてくるわけですね。
■大宮: モーセの十戒石は聖書によれば、その後失われてしまうわけですが、それが何と日本の竹内巨麿家に伝わっていたという形になるわけですね。それらを踏まえて山根菊子は『光りは東方より』を著しましたが、『光りは東方より』は戸来村のキリスト渡来伝説を決定的なものにしました。その功績ははかりしれないものがあると思います。
■武田: 山根菊子の場合は戸来村(新郷村)のキリストの墓や能登宝達山のモーセの三ツ子塚や阿夫利神社神域のヨセフの塚や古代のピラミッドではないかともいわれる信州皆神山のキリストの修行地などを実地調査しており、誠に貴重な文献です。いわば世界的聖者の日本渡来伝承の先駆的研究書として不朽の価値があります。
■大宮: 日ユ同祖論研究の著作としては川守田英二の『日本ヘブル詩歌の研究』も重要です。キリスト伝説で有名な戸来村に伝わる民謡「ナニヤドヤラ」はヘブライ語で解釈できるということを発見した大著です。もともと言語学者で、日本民謡を調べた結果としてユダヤのものが混入しているということを解明したわけですね。
■武田: 川守田はダビデ王朝が日本に神武朝として再現したといい、神武天皇がダビデの末裔だというわけです。それが何の理由もなくしてそういわれることはありえないわけであって、そこにはなにか深い仕組があり、その秘密を解き明かしたものが『日本ヘブル詩歌の研究』なんです。
■■日本列島に刻印されたユダヤの影
──ユダヤと日本の歴史的な経緯を事細かに調べあげたのが、三村三郎の『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』で、まさに日ユ同祖論問題の名著ですね。
■大宮: そうです。『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』は、ざっと例をあげても、シオニズムとユダヤ秘密結社の正体はもちろん、宮中にある神鏡の裏がヘブライ文字で刻まれているとか、伊勢神宮の外宮の祭神はエホバの神であり、神体はユダヤのマンナの壷であるとか、神武天皇はダビデの血統であるなど、驚くべき説が紹介されています。また剣山にはソロモンの秘宝が隠されているとか、淡路島にユダヤの遺跡を発見したとか、キリスト日本往来説とか日本に秘められたユダヤの痕跡のほとんどが収録されています。
その一方で、日ユ親善運動に伴う弾圧の歴史や、小谷部全一郎、山本英輔、小磯国昭、石原莞爾、犬塚惟重、仲木貞一、中田重治、下中弥三郎、安江仙弘、高根正教、武智時三郎、川守田英二など日ユ同祖論に関わる戦前戦後の人脈もすべて網羅した一大労作です。
──日本に隠されたユダヤの痕跡は『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』をひも解けば、わかりますが、有名なところを具体的にあげて頂ければ。
■大宮: 佐伯好郎によれば、京都の太秦に帰化した秦氏はユダヤ人であると断定しています。太秦には大辟神社がありますが、大辟はダビデのことで、ダビデが祭神として祀られていると述べています。また、同神社の側には伊佐良井の井戸があり、これはイスラエル人の井戸とされています。太秦の蚕の杜境内には日本唯一の三本足鳥居があり、これは妙なことにダビデの星を彷彿とさせるんです。
太秦(うずまさ)の「蚕の杜」の
境内にある三本足の鳥居
■武田: 秦氏が鎮座した神社としては松尾大社や伏見大社などが有名ですね。
■大宮: 古神道的な考え方では、平田篤胤の影響で、日本の神々が世界各地に降臨して世界繁栄の基盤を造るということがありますが、スクナヒコがメソポタミアを開発したということが宮地神仙道に出ています。また大国主命(オオクニヌシノミコト)は易を発明した伏羲になったとか、西王母と大国主命の夫人スセリヒメが同一であるとか、いわれますね。
■武田: 『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』を書いた三村三郎は本名を三浦一郎といい、当初、西村大観という霊術家の弟子だったわけで、その後、出口王仁三郎に師事し、大本の幹部として聖師の密命を受けて活躍していたわけです。三村三郎は九鬼文献の研究もやり、一般的な霊術もやり、大本もやり、あらゆるものをオールマイティーにやった人物です。
■大宮: 『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』には付録として『世界の謎・日本とイスラエル』も収録されています。ユダヤに関わる基本的な研究資料がすべて収録されていますから、ユダヤ問題の入門書としては最高ですね。
■■衝撃の極東フグ計画の全貌とは
──それから安江弘夫の『大連特務機関と幻のユダヤ国家』が最近出版され好評のようですが。
■武田: これは満州にユダヤ王国を樹立しようと工作したいわゆる幻のフグ計画の全貌を公開した貴重なものです。フグ計画の中心画策者・安江仙弘は酒井勝軍と親しくて、彼と一緒にエジプトへ行った陸軍の皇道派の将校でした。著者は安江仙弘の遺児で、未公開資料を駆使して謎に包まれたフグ計画の真相を暴いています。
安江仙弘(やすえ のりひろ)
陸軍最大の「ユダヤ問題専門家」。
1938年、大連特務機関長に就任すると、
大陸におけるユダヤ人の権益擁護に務め、
ユダヤ人たちから絶大な信頼と感謝を受けた。
右は『大連特務機関と幻のユダヤ国家』
安江弘夫著(八幡書店)
──ユダヤ問題に関して異色なところではロシアの哲学者ニコライ・ベルジャーエフの『霊的終末論』がありますね。
■大宮: ベルジャーエフは霊的見者の一人で、その深い洞察には慄然とするところがあります。その彼が予言の形で述べたものが『霊的終末論』なんですが、そこにはユダヤ民族が世界の運命を握っていると説かれています。これはまさに一種の経綸論で、特にユダヤ人の霊的側面に関心のある人にとっての必読書としてお勧めします。
■■多面的なアプローチでユダヤ問題を照射
──残り時間が少なくなりましたので、最後に一言ずつお願いします。
■大宮: ユダヤ問題は時代の節目ごとに大きくクローズアップされています。たとえば戦前とか戦時中でもユダヤ問題というものが大きく採り上げられたり、最近もまたユダヤ問題が注目を集めたりしています。だが、そのほとんどは興味本位のまがい物であるのも事実です。ですからここではユダヤ問題に関して参考になると思われる本格的な名著のみを紹介しました。日本人にとってユダヤとは何なのかを見つめ直す契機にして頂ければと思います。
■武田: ユダヤ問題は一見永遠の謎のようにつかみがたいところがありますが、それは秘密の鍵を差し込むことによって、一挙に見えてくる場合があるのです。そのためには『霊界物語』『神秘之日本』『友清歓真全集』を読んで、なおかつ今まで挙げた日ユ同祖論関係の本を読んで研鑚を積まれれば、よいでしょう。
こういった微妙な霊的問題に対しては一面的な見方に偏らないで、できるだけ多くの資料に眼を通されて総合的立体的に把握する力を養って頂ければと思っています。
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