No.a6fhb802

作成 1998.1

 

「400万人」が「150万人」に訂正された

「アウシュヴィッツ記念碑」

 

●ヨーロッパ全体で殺されたユダヤ人の総数は「600万」人と言われているが、あまりにも大きすぎて、なかなかイメージしにくい数字である。しかし、この「600万」という数は現在のアメリカの全ユダヤ人口とほぼ同じ数である。

つまり、現在アメリカにいるユダヤ人を1人残らず抹殺することに等しいのだ。いかにすごい数字かが理解できるだろう。

 


アウシュヴィッツ収容所

「アウシュヴィッツ」はドイツ名であり、ポーランド名は「オシフィエンチム」。
現在のポーランド領オシフィエンチム市郊外に位置する。「アウシュヴィッツ収容所」は
「第一収容所」、「第二収容所(ビルケナウ)」(1941年建設)、「第三収容所(モノヴィッツ)」
(1942年建設)に区分され、それ以外に38の「外郭収容所」や「付属収容所」があった。
「第一収容所」はポーランド軍兵営の建物を再利用したもので、SS長官ヒムラーの指令
により1940年4月に開設され、最初の囚人はポーランド人政治犯だった。



アメリカ軍が戦時中にアウシュヴィッツを上空から撮影した写真(1944年)

 

●しかし、21世紀に近づいてからこの「600万」という数字は揺れ始めている。もしかしたら、もっと少なかったのではないかという疑問の声が高まりつつあるのだ。


●1990年7月17日付のポーランドの連帯系の『選挙新聞』が、「アウシュヴィッツ収容所博物館」による調査結果として、400万人に上るといわれたナチス・ドイツの「アウシュヴィッツ収容所」の犠牲者は、じつは約150万人レベルだったことが判明したと発表した。

同博物館の歴史部長によると、調査で確認された犠牲者の数は計約110万人。内訳はユダヤ人が96万人、ポーランド人7万5000人、ジプシー(ロマ民族)2万1000人、ソ連兵捕虜1万5000人など。死のキャンプからの生還者は22万3000人だったという。


●この実態調査はヨーロッパ各地のゲットー(収容所)で作成されたリストや収容所への移送の際の通信文書などを基に実施された。

「実際の犠牲者総数はこの調査結果を上回るだろうが、多く見ても150万人どまり」としている。


●死者400万人とする従来の数字は、ソ連軍が1945年に「アウシュヴィッツ収容所」を解放した直後、ソ連の調査委員会が発表したものであった。シオニスト系ユダヤ人団体は、このソ連の発表をもとに、ナチス・ドイツによるヨーロッパ全体のユダヤ人虐殺は600万人と主張し、さらに「アウシュヴィッツ収容所」の犠牲者は“全て”ユダヤ人であったと主張し続けてきた。

しかし今回の発表で、「アウシュヴィッツ収容所」の犠牲者は半分以上も減るばかりか、犠牲者はユダヤ人だけでなく、ポーランド人もジプシー(ロマ民族)もソ連兵捕虜もいたことが明らかとなった。

 


ナチスによって収容所に収容されたジプシー(ロマ民族)たち

 

●今回の調査結果に基づいて、死者は「400万人」と記した「アウシュヴィッツ記念碑」の銘板は1995年に撤去され、「150万人」に訂正された新しい銘板が付けられた。

また、イスラエル共和国の「ヤド・バシェム・ホロコースト博物館」も、実際は100万程度であるとして、下方修正した。さらに同博物館のイェフダ・バウワー教授は、「ナチスが人間の脂肪から石鹸を作った事実は無かった」と公式に発表した(1990年)。

この一連の動きは、日本国内の一般人にはあまり知られていない事実である。

 


犠牲者数が「400万」から「150万」に
訂正された「アウシュヴィッツ記念碑」

↑この画像を見てお分かりのように、しっかり
「ONE AND A HALF MILLION」に訂正されている

 

●このように、「アウシュヴィッツ収容所」の死者の数は半分以上も減ってしまったわけだ。

しかし注意して欲しいのは、今回、ヨーロッパ全体で殺されたユダヤ人の総数=「600万」人が訂正されたわけではないという点である。

「600万」という数字は(多分)永遠に不変である。「600万」という数字は、ホロコーストの悲劇を語り継ぐ上での重要な「シンボル」となっている。この数字はシオニスト・ユダヤ人にとって冒すべからざる“神聖な数字”であり、「600万」を少しでも否定することは、即、ホロコーストを否定することにつながってしまう。そのため、そう簡単に変わる(訂正される)ような数字ではないといえる。

 

600万

 

●なお、戦後ずっとシオニスト系ユダヤ人団体が「600万」という数にこだわり続けているのには、きっちりとした「経済的理由」がある。

そこに語られている「600万」人分の殺人の代償として、イスラエル国家はドイツ国民に莫大な「賠償金」を賦課したからだ。

※ ドイツはユダヤ人虐殺などへの個人補償だけでも、円換算で総額約6兆円を支払ってきた。

 

 

●また、アウシュヴィッツの犠牲者が多ければ多いほど、イスラエルに限らず、第二次世界大戦で勝利したアメリカ、イギリス、ソ連にとっても好都合なのである。ヒトラー政権が、より凶悪で、より悪魔的に見えれば見えるほど、その分だけ連合国の主張が、より高貴な、より正当化されたものとみなされるからだ。


●「世界シオニスト機構」の議長を務めたナフム・ゴールドマンは、『ユダヤの逆説』の中で次のような事柄を率直に述べている。

「ドイツは総額8000億ドル支払うことになった。イスラエルが国家としてスタートした最初の10年間、ドイツからの賠償金がなければ、現在のインフラの半分も整備されていなかっただろう。

イスラエルの全ての鉄道・船・電力設備・産業基盤はドイツ製である。

その上、生存者に支払われる個人賠償があった。イスラエルは現在、ドイツから毎年何億ドルの賠償金をドイツ通貨で受け取っている。もう数年経てば、イスラエルがドイツから受け取った賠償金の総額は、宝石売却による資金の2倍、もしくは3倍になるだろう。この賠償に現在、不服を言う者は誰もいない」

 


「世界シオニスト機構」の
ナフム・ゴールドマン議長

 

 



── 当館作成の関連ファイル ──

『ホロコースト産業』について 

シンボルとしての「アイヒマン裁判」 

公式に否定された絶滅収容所「ダッハウ収容所」 

 


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