No.b1fha805

作成 1998.2

 

黒魔術の秘儀 ─ 死してなお目的完遂

 

 

別ファイルで紹介した「ヒトラーの予言」の“続き”です。

「黒魔術」という言葉に拒絶反応を示す人もいるかと思いますが、
含蓄に富んでいて面白い内容なので、参考までに載せておきます。

興味のない方は、読み飛ばして下さい。


『1999年以後』(祥伝社/五島勉著/1988年10月出版)より

※ 各イメージ画像とキャプションは当サイトが独自に追加


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■■結婚式の謎──「空白」の1時間半


ヒトラーの「指名予言」と「最後の放送」を重ね合わせてみると、死の直前の時期、ヒトラーの霊感はとくに冴え、1980年代・90年代の世の中のカンどころを、ピタピタ押さえて予知していたことがわかる。しかも「ヒトラー最後のラジオ放送」を読み返せばおわかりのように、彼はいっそう奇怪なトドメの言葉を遺していったのだ。整理して、もう一度繰り返せば、

「諸君に言おう。ナチスは滅びない。ナチスは必ず甦る。ナチスはユダヤに最終戦争を起こさせない。そのための手を私は打っておく。それは秘儀である。それによって人類にわれわれを受け継がせる。私は死ぬ直前にそれをやっていくのだ。」

死の直前で錯乱していたかもしれないが、これはどんな意味だったのか?

それを解くカギはそのときの状況の中にある。ヒトラーの死の直前とは、彼が戦局を盛り返す手段をすべて失い、独裁者から一人の男に戻って、愛人エバと結婚式を挙げていたときだ。

 

 
ヒトラーとエバ・ブラウン

 

その日付は、1945年4月29日午後11時半

すでにナチス軍は総崩れになり、ソ連の戦車軍団が地下本営へ10キロのところまで迫っていた。ヒトラーはそれを知らされると、直属の最後の親衛隊500人に、対戦車砲で本営の外を固めさせ、エバ・ブラウンにはウェディング・ドレスを着るように言った。そして地下食堂に側近たちを集め、カギ十字の旗とかがり火と氷の塊に向かって、質素な結婚式を挙げた。

ヒトラー56歳、エバは33歳だった。

立会人は第一側近のゲッベルス夫妻、ほかに腹心8人ほどが付き添った。それが結婚宣誓書への2人のサインで終わると、最後に残ったコーヒーとチョコレートケーキの披露宴になった。一同はそれを食べて、シューベルトの「野ばら」を陽気に合唱した。このへんになると、もう死を覚悟した奇怪な面々のヤケ騒ぎだ。1時間ほどでこれも終わった。

ヒトラーとエバは地下の奥の私室にこもり、約1時間半、中で何かをした。

〈中略〉

 


荒れはてた総統官邸の内部 (1945年)

 

ヒトラーもエバも地下本営の抜け道を使って脱出、長距離機で南米へ逃げ、アマゾンの奥地に「ナチス第四帝国」を作った、などという説があるが、私(五島)はこの種の脱出説や生存説にはあまり興味がない。

私が予言研究者として強い興味を持つのは、2人が私室にこもった死の直前の「空白」の1時間半だ。

ヒトラーの最後の言葉と考え合わせると、この「直前の空白」のあいだに、当然、ナチスを滅ぼさず甦らせるための、何かの「秘儀」が行なわれたはずなのだ。

 

 


■■人類はナチスの望みを全て受け継がされてしまった……


ここで、私の興味は、彼が好んだ「黒魔術」の最高秘儀に結びついていく。

というのも、黒魔術の最高秘儀とは、じつは「自分が自ら滅びることで、自分の本望を敵に受け継がせる」という、なんとも奇々怪々なものだったのである。その儀式そのものは、何か複雑な呪文をとなえて「悪魔の大王」を呼び出し、呪いや願いを聞いてもらうものらしく、詳しいことは私にもわからない。

私にわかっていることは1つ。

ヒトラーの死の直後から、人類は実際に、ナチスの望みを全て受け継がされてしまった、ということだ。

その一番いい例は、やはりロケットとミサイルである。

 

 
ナチス・ドイツが開発したV2ロケット(別名「A4」)

敗戦までに約6000発が生産され、3000発以上が実戦で発射された

 

ナチス以前の人類はV1号・V2号ミサイルのような兵器を持っていなかった。巨大ロケットで別の天体へ行こうなどという発想(ナチスのぺーネミュンデ研究所員たちが考えついた)もなかった。

しかしヒトラーの死後、ナチスが滅びたあと、まず米ソがV1号・V2号のようなミサイルを大量に作った。そしていまでは世界中、どんな小さな国でもゲリラでも、V2号から発展したミサイルを、必需兵器として持つようになっている。

機械文明と技術の流れがそうなったのだ、と思っている人が多い。

しかし、ちょっと考えてみてください。何がおかしいと言って、これほど奇っ怪で不可解なことはほかにない。人類はヒトラーとナチスを滅ぼした時点で、ナチスの息のかかったもの一切を否定したはずだからである。

第二次世界大戦後、人類はそこから出発したはずだ。とくに米ソなど連合国にとって、第二次世界大戦は何よりも反ナチス、反ヒトラーの正義の戦いだったはずだ。だからベルリンが陥落し、ヒトラーの死体が葬られ、アウシュヴィッツが解放された時点で、ほかのナチスの全てのものも葬り去られたはずなのだ。

 


激戦の末、ベルリンの帝国議会の
ドームに翻ったソ連国旗 (1945年4月末)

 

「それは忌わしい悪魔の思想、またそこから生まれた悪魔の産物である。われわれはそれらすべてを永遠に葬る。二度と思い出さず、二度と近づくこともない。これがわれわれ人類の誓いだ。」

ルーズベルトもスターリンもドゴールもチャーチルも、当時の“自由と解放”の指導者たちはみんな、終戦記念演説に必ずこの一節を入れ、“ナチスのすべての永久抹殺”を格調高く調い上げた。

ところが実際には、ヒトラーが自殺した翌日から、米ソはもう狂ったように、ナチス型ミサイルの設計や生産にとりかかっていたのだ。それも自前の開発ではなく、米ソとも、ナチス生き残りの科学者たちを必死で探し、ナチスの悪魔の技術を、弟子として教えてもらって受け継ぐ、というやり方で。

 


戦後、「ペーパークリップ作戦」を通じてアメリカに入国したドイツ人科学者たち。
1946年から1955年までに数千人がアメリカに入国した。そのうちの
半分、あるいは80%が元ナチか元SSであったという。



「アメリカ宇宙計画の父」
ヴェルナー・フォン・ブラウン博士
(1912〜1977年)

1912年にドイツ東部の裕福な貴族の家に生まれ、
1930年にベルリン工科大学に入学。19歳の時に
全長2mのロケットを高度1600mまで打ち上げ、
世界記録を作る。1938年に「ナチ党」に入党。
大戦中はナチスのためにV2ロケットの
製作を指揮した。元SS少佐。

 

ソ連は100人以上のナチ科学者を自国へ招き、水爆の技術まで教えてもらって受け継いだ。アメリカもほぼ同数のナチ科学者を招き、ICBM(大陸間弾道弾)とIRBM(中距離弾道弾)、両方のミサイル技術を教えてもらった。

だから今、トマホークでもエグゾセでも、自衛隊が買うというマーベリックでも、世界の主要ミサイルは全部、ヒトラーが思いついたVシリーズやAシリーズのロケットの延長上にある。またはナチスの誘導弾HS293などをそのまま受け継いでいる。

もっと巨大なタイタンやアリアン、スペースシャトルやソ連の火星ロケットも、すべてヒトラーが指令してぺーネミュンデが準備した、V5・V6・V10・V12……などの巨人ロケットの焼き直しにすぎない。特に「アリアン」は、ヨーロッパ諸国が共同で1990年代に打ち上げる期待のものだが、その名前はヒトラーがいちばん神聖視していたアーリア民族(ゲルマンの遠い始祖)から出ている。つまりヒトラーが実現を望んでいた栄光の宇宙ロケットを、ヨーロッパ諸国が受け継いで打ち上げることになる。奇怪というしかない。

要するに、ナチスを完全に否定したところから出発したはずの、今の世界、ヒトラーと聞いただけで不快そうにマユをひそめる今の人類の上を、“ヒトラーの勃起した男根”そっくりのナチス型ロケットが、毎日飛びまわっているという、信じがたいような事実が起こっているわけなのだ。

 

★★★★
機体の各部にV2ロケットの影響を色濃く
残している旧ソ連軍の「スカッド」ミサイル

V2ロケットのコピーである「R-1」をベースに
「SS1BスカッドA(R-11)」ミサイルが開発され、
これは「スカッドB(SS1C)」として改良発展した。

冷戦中のソ連は、当時の友好国への軍事援助として
多数の「スカッドB」を輸出し、このうち主として中東諸国で
スカッドは多数の実戦を経験しており、湾岸戦争ではイラクが
使用したことで知られている。ちなみに 「ノドン」ミサイルは
北朝鮮がスカッドをベースに改良して作ったミサイルである。

※ 基本的にスカッド・ミサイルはV2ロケットの改良型であり、
今日ではもはや旧式であるが、現在でも旧東側、中東諸国を
中心に多数が実戦配備されており、パキスタンの「ガウリ」、
イランの「シャハブ」、シリア、リビアの独自改良型などの
多くのミサイルを生み出してきた。(このように戦後の
世界は“ナチスの亡霊”に支配されていると
 いっても過言ではない状態である)。


参考までに、スカッドを配備した国は以下の通り。

◆CIS構成国
ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、カザフスタン、グルジア、トルクメニスタン、ベラルーシ

◆東欧諸国
スロバキア、セルビア、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア

◆中東諸国
アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イエメン、イラク、イラン、シリア、パキスタン

◆アジア諸国
北朝鮮、ベトナム

◆アフリカ諸国
アルジェリア、エジプト、コンゴ民主共和国、リビア

 

ジェット機もそうだ。

フランク証言によれば1938年の夏のある夕方、山荘のテラスからぼんやりアルプスを眺めていたとき、ヒトラーは、突然「飛行機が来るぞ!」と叫んだ。

「すごい飛行機だ! プロペラがない! 速い! 爆音も変だ、尾から何か噴いている!」

といっても、そんな奇妙な飛行機など、実際にはどこにも見えなかった。

が、たまたま、ベルリンから招待された科学者たちがそこにいて、中にハインケル社とメッサーシュミット社の技術者たちが混じっていた。彼らはヒトラーのこの叫びに驚いたが、まもなくそれを天の啓示だと思うようになった。

そして頭脳をしぼって1945年初めまでに作り上げたのが、世界最初のナチス・ジェット戦闘機隊(試作種をふくめ5、6種あった)であった。

 


世界初の実用ジェット戦闘機として実戦に投入された「Me262」

時速800キロ以上のスピードとその上昇能力によって、
当時のどんな飛行機より遥かに優れていた

 

そのころ、すでに工場地帯への米軍の空襲が激しく、数は30機ぐらいしか作られなかったが、それらは大戦末期ぎりぎりのとき、実際に戦場に姿を現わした。押し寄せるプロペラのB17編隊と護衛のイギリス戦闘機隊を迎え、オモチャを落とすようにバタバタ落とした。

「なんだあれは? ヒトラーの呪いか? 悪魔の兵器か?」

米英のパイロットたちは狂ったように逃げ、逃げのびたものの、恐怖で発狂した者さえあった。

ところがである。この忌まわしい「ヒトラーの悪魔の兵器」を、ナチスが滅びたあと、世界は争って受け継いだのだ。

ナチスのジェット技術者を丁重に迎え入れ、「メッサーシュミットP.1101」や「ハインケルP1077」そっくりのものを作ってもらうことによって……。

そのためナチス敗北後5年、朝鮮戦争が始まったとき、出動した米ソ製の戦闘機は、ぜんぶナチスの各種ジェット戦闘機の生き写しだった。

しかも今、そこから発展したジェット旅客機(原型はナチスのジェット爆撃機アラドなど)に、人々は喜んで乗っている。超高空を飛ぶジェットが(とくにその離陸時の排気が)、取り返しのつかない深刻な大気汚染の一因だと知っている私自身、それに乗るたび、「ウン、これはたしかに便利だ。これがなきゃ現代生活は成り立たないな」などと思っているようなていたらくなのである。

 


ナチスが地下工場で大量生産する予定だった
BMW003ジェット・エンジン


ナチスが開発していたBMW003ジェット・エンジンと、
実用化されていたユンカース社のJumo004Aジェット・
エンジンは、ソ連が得た最良の戦利品の1つであった。

大戦前からソ連の航空技術陣はジェット・エンジンに関心は
持っていたが、大戦の開始とともに開発は中止されていた。
しかし、大戦終了直後にソ連はBMW003と、Jumo004A
ジェット・エンジン、そして生産設備を手中にすることができた。

これらのジェット・エンジンは戦後、ソ連でコピー生産された。


 
ソ連のヨシフ・スターリン

戦後、スターリンの命令でミコヤン、スホーイ、ラボーチキン、
ヤコブレフの4つの主要航空機工場が、これらドイツのジェット・
エンジンをソ連機に搭載する実験に取り組むこととなった。

ミコヤンはBMW003エンジンを搭載した「MiG9」を開発し、
イリューシンも同じくBMW003エンジン搭載の新型機「IL16」爆撃機を
製作したが、後にBMW003はコピーされて「RD20」エンジンと呼ばれた。

また、ユンカース社のJumo004Aエンジンは「RD10」と称されて、
ヤコブレフ「YaK15」戦闘機に搭載された。スホーイも同じく新型の
「Su9」を製造し2基の「RD10(Jumo004A)」エンジンを搭載した。


◆ ◆ ◆



メッサーシュミット「P.1101」

 
(左)ベル「X−5」 (右)米軍戦闘機「F−86」

 
(左)フォッケウルフ「Ta183」 (右)ソ連軍戦闘機「MiG15」

ベル「X−5」は、ナチスが大戦中に開発していた
「P.1101」の技術を基にアメリカで作られた実験機である。
「P.1101」の先進的デザインはその後、朝鮮戦争で死闘を繰り広げた
 米軍戦闘機「F−86」にも受け継がれた。同性能のソ連軍戦闘機「MiG15」は、
ナチスが大戦中に開発していた「Ta183」のコピーである。つまり
 朝鮮戦争はナチス製戦闘機のコピー同士が対戦したのである。
(これは史上初のジェット戦闘機同士の空中戦であり、
両機とも当時の戦闘機中最高性能を誇った)。



ソ連軍戦闘機「MiG15」と米軍戦闘機「F−86」

朝鮮戦争で「Ta183」のコピーの「MiG15」に
唯一対抗できたのが、「P.1101」の
 コピーである「F−86」だった。

 

ほか、ヘリコプターに高速道路、スーパーチャージャーに四輪駆動車、レーザーに臓器移植、そして各種毒ガスまで、多くの恐ろしいナチス技術を人類は受け継いだ。

だけでなく、ナチスの理念、つまり「人間は支配者と被支配者の2種類に分かれる」といった思想まで受け継いだ。これはヒトラー予言であると同時に、ナチスの重大な政治目標にもなっていた。だから完全に否定されるのが当然なのに、否定するように見せながら、人類は、じつはこれもがっちり受け継いでしまったのだ。

だからこそ広い土地を持つ者と持てぬ者、ニュー・リッチとニュー・プアー、偏差値と学歴、富裕国と飢餓国、弱い者への徹底的な嘲笑といじめ──などの上に成立している今の世の中が世界的に出来上がってきたのだと私は思う。

もし、人類がナチスを本当に拒否したなら、こうなるわけがない。そのときは人類はジェットもロケットも拒否し、したがって宇宙からの危機の大半もなく、「2種類に分かれる」といういやらしさもなく、上に書いたのとは逆の社会を実現できていたはずだ。

しかし現実には、世界中の指導者と各国民が「ナチスを永遠に葬る」と誓ったその日から、人類はさっそくナチスを受け継いだのだ。民主主義と平等の実現を高らかに誓ったのに、実際には、ナチスが目指した差別と虐殺技術をますます発展させてきた。

これは誰かがウソをついてだましているのか、それを知りつつ、だまされる世の中を人類が選んだのか、全人類が「ヒトラーの呪い」にかかったままなのか、である。

いずれにしろ、民主・平等なんてとんでもない。誰も本当のことを言わないだけで、今の世の中の本質は──兵器も人間関係も格差も技術も政治も──ナチス時代以上に“ナチス的”になってしまっているのだ。

「だからナチスは滅びない。私は死んでも人類にナチスを受け継がせる。そのための手を私は打っておく──」

このヒトラー予言、または「遺言」は、こうして完全に当たった。

 

 


■■ヒトラーの予知した「超人類」について


ヒトラーの予知した人類究極の姿は、オーウェルよりもむしろ、もう1つのSFの傑作、『地球幼年期の終わり』に、とても近いと感じる。『地球幼年期の終わり』は、『2001年宇宙の旅』の鬼才作家アーサー・C・クラークが書いた、SFファンなら誰でも知っている、世界SFのベストテンに文句なく入る傑作だ。

 


アーサー・C・クラークが書いた
『地球幼年期の終わり』

 

このアーリア系イギリス人の小説の内容をかいつまんで言えば、米ソが元ナチスの協力で宇宙競争にしのぎを削っている近未来、別の銀河系から、突然、神そのもののような超知能生物たちが宇宙船に乗って地球にやって来る。ところが彼らの姿は、なんと人類が昔から想像してきた、長い耳に長いシッポ、口が耳まで裂けた「悪魔」そっくり。この怪異な超高等生物が、なぜか地球人類にたいへん好意を持ってくれる。災害や汚染や自然破壊など危機を切り抜ける道を教え、科学や社会の進歩を手伝ってくれる。

すると人類は、そうされているうち、次の世代あたりから急に恐ろしい変身をはじめる。体だけは今の人類のまま。しかし意識の中身というか心の本質が変わる。体は依然一人ずつ分かれて独立しているのに、心の働きの上で、「個人」というものがなくなってしまう。一人ひとりが1個ずつの細胞のようになり、ついには人類の若い世代、ぜんぶが、数億人の個体に分かれた1つの心の巨大生物になっていく。1匹ずつでは自分が何者かわからないアリやハチが、全体としては「種を繁栄させよう、進化させよう」という共通目的に向かって進むように。

しかも、この新人類の場合、最終目的はついに明かされない。ただ全員で宇宙の果てをじっと見つめ、1つの巨大生物として何かをはじめようとするだけだ。それを見て、「悪魔」そっくりの姿の宇宙から来た神々は、これで地球人類もやっと新しい成長期に入った。われわれ宇宙生命の進化を受け継ぐ準備がはじまった、いままでの地球人類は、その本当の使命がわからない幼年期だったのだ、と思いながら、援助を終えて宇宙の彼方へ帰って行くのである。

 

 

ヒトラーが予知した2039年の人類の状態は、このありがたくも狂おしい傑作SFのイメージと、とてもよく似ていると思う。

といっても、ヒトラーがそれを告げたのは1939年、アーサー・C・クラークがこれを書いたのは1953年

だから、国際的な極秘情報も深く知っているというクラークが、ヒトラーの「究極予言」をどこかで聞いて参考にした可能性はあっても、ヒトラーがクラークのこれを読んで影響を受けた、ということはありえない。

ヒトラーは2039年の究極の予知の中に、「人類の幼年期の終わり」を、人類がいまの次元から別の次元の生物に変身していく、「成長期の始まり」を見ていたのではないか。

とはいっても、2人の間には、むろん異質な違いがある。改めて言うのもおかしいが、ヒトラーが言ったのは魔性の予言、クラークが書いたのはあくまでSFだ。

優れたSFに出てくる事件や社会は、『月世界一周』や『海底2万マイル』など、ジュール・ベルヌの作品などがいい例だが、ある程度、実現することもある。しかしその確率は高くない。優れたSFであればあるほど、それは作者の奔放な頭脳から生まれた空想だから。「悪魔そっくりの姿をしてUFOで飛んで来る神々」も、もちろんそうだ。それはクラークの想像力が生んだ皮肉で強烈なキャラクターだが、そんなもの、決してどこにも実在しないし、飛んで来るわけもないと私は確信している。

しかし、ヒトラーの「2039年」は違う。これは空想とは別次元の予知力が見通した未来だ。

原爆からゴルバチョフのおでこのアザまで見通していた、世界の魔人ナンバーワンが予知した未来だ。当たる確率はきわめて高いと見なければならない。おそらく100%に近い確率で当たると思う。そのとき世界中が完全にそうなっているかどうかはともかく、「神人」と「ロボット人間」たちが現われて実際に活動する社会が、2039年、必ず来ているだろう。


─ 完 ─


(以上、『1999年以後』より)

 

 


 

ナチスの「超兵器」

 


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